新設法人の皆様へ~会計帳簿の重要な役割~

1-1 はじめに

 今回は、『新設法人皆様』向けてコラムを作成いたしました。このコラムのテーマは、会社を存続発展させる為に、会計帳簿が非常に重要な役割を担っている事に関連したテーマとなっております。
 まず、会社経営において、経営管理が非常に重要です。しかし、会社設立時、経営管理体制を構築していない会社が多く、経営管理が有効に機能していないことも多いことと思います。そこで、会社を存続発展させるため、会計帳簿を利用した「経営管理の重要性」について、ご説明いたします。
 また、会計帳簿の記帳は、軽視される傾向にあると思います。しかし、会計帳簿から作成される決算書が、融資において、最も重要な提出書類となります。そこで、会社を存続発展させるため、会計帳簿から作成される決算書に関して、「融資に強い決算書作成の重要性」について、ご説明いたします。

2-1 経営管理の重要性

 ご存知ですか? 中小企業・小規模事業者が、2009年度:420万者 ⇒ 2012年度:380万者と5年間で、約40万者も減少しています。
 中小企業庁の統計データによると、主な倒産理由として、第一に「販売不振」です。そして、「販売不振」の次に、「既往のしわ寄せ(悪化した経営状況を放置した結果の倒産)」、「放漫経営(ずさんな管理体制による結果の倒産)」など、会社の内部要因が主な倒産理由にあげられています。これらの会社の内部要因は、適切な経営管理体制の構築により、防げたものもあったと考えられます。つまり、経営状況を適切に把握した上、さまざまな問題点に改善策を講じることで、倒産を回避できたのではないかと考えられます。
 しかし、起業・創業して間もない中小企業・小規模事業者は、経営資源が限られているため、売上に直接、結びつかない経営管理に時間やコストをかけない傾向にあります。そのため、経営状況を適切に把握することは困難であり、問題点に改善策を講じることは、さらに困難となってしまいます。そこで、起業・創業して間もない中小企業・小規模事業者は、会社を存続発展させるために、経営管理を機能させる必要があると考えられます。
 そして、経営管理を機能させるには、会計帳簿の有効活用が必要となります。具体的には、事業計画書の作成により業績の目標設定をして、業績の実績値を集計することで、目標値と実績値の差異分析をします。そして、当該差異分析により、実績値が目標値から乖離した原因を分析することで、問題点を発見し、改善策を講じます。つまり、会計帳簿の適切な記帳と有効活用を行った上で、PDCAサイクルに基づく改善活動を繰り返し実施する予算管理が必要となります。
 その上で、経営管理は、事業計画の実効性確認等を含め、将来的なビジネスプランの再構築などにも、貢献いたします。

2-2 経営計画の策定状況等

 『2016年版小規模企業白書』では、経営計画(事業計画や収支計画など)の策定状況等について、経営者の経営計画を作成した動機及び効果、また経営計画を作成しなかった経営者の今後の意向など、調査結果(複数回答あり)をまとめてあります。以下は、『2016年版小規模企業白書』での内容となります。

(1)小規模事業者の経営計画の作成の有無

 経営計画を作成したことがある者は、個人事業者では43.9%であるのに対し、法人では64.0%となっており、法人の方が経営計画を作成した割合が高いことが分かります。

(2)経営計画を作成した背景や動機

 「補助金申請で必要となったから」と「業績を向上させたいから」との回答が、それぞれ約6割となっています。「業績を向上させたいから」、「経営状態を正しく知りたかったから」や「自社の強みと弱みを知りたかったから」という自発的な回答も多く見られる一方で、補助金申請や融資申込を契機として経営計画を作成した小規模事業者も多いことが分かります。

(3)経営計画を作成した効果

 「経営方針と目標が明確になった」及び「自社の強みと弱みを認識できた」との回答が、それぞれ約7割となっているほか、「販路開拓のきっかけとなった」が約4割、「資金繰りの状況が把握できた」が約3割となっています。

(4)経営計画を作成したことのない者が、今後、経営計画を作成する意向の有無

 「作成してみたいと思う」との回答は約1割と低くなっているが、「適切なアドバイスがあれば作成してみたい」とする回答が約5割と過半数を占めています。このことから、支援機関等が、小規模事業者の経営計画作成に対して適切なアドバイスを行うことが重要であることがわかります。

 以上より、小規模事業者において、経営計画を作成する動機は、どのようなものであれ、その効果が、ある程度見込めると考えられています。その上で、経営計画を作成したことのない者であっても、経営計画作成に対して適切なアドバイスがあれば、過半数以上の方が、経営計画を作成してみたいと考えております。

2-3 まとめ(経営管理の重要性)

 会社を存続発展させる為には、経営状況を適切に把握して、問題点の改善活動をする経営管理を機能させる必要がある。具体的には、会計帳簿の適切な記帳と有効活用をして、事業計画を作成し、予算管理が必要となります。その上で、経営管理は、事業計画の実効性確認等を含め、将来のビジネスプランを再構築することもできます。
 また、小規模事業者において、経営計画の効果が、ある程度見込めると考えられています。その上で、経営計画作成に対して適切なアドバイスがあれば、大半の方が、経営計画を作成してみたいと考えております。
 したがって、会社を存続発展させる為に、適切なアドバイスの下、会計帳簿を有効活用した経営管理体制を構築して、経営管理を機能させる必要があると考えられます。

3-1 融資に強い決算書作成の重要性

 一般的に、売上が増えるにつれ、資金が不足することになります。例えば、原材料等を仕入れ、製品を製造販売する会社のケースで考えてみます。まず、原材料の仕入に支払が必要となり、さらに、従業員の人件費や水道光熱費等の経費の支払が毎月定期的に発生します。その上で、最後に、製品の売上が入金されるという事業サイクルになります。つまり、支払が先で、入金が後になるケースが、一般的です。そして、営業取引が増えると、この事業サイクルが重複して繰り返され、「支払、支払、入金、支払、支払、入金、」というように支払が多数先行することもあります。したがって、売上が増えるにつれ、資金不足になるのです。
 そこで、起業・創業後、事業が好調になると、すぐに資金繰りの問題が発生し、資金調達を検討する事になるのです。
 中小企業・小規模事業者の主な資金調達方法としては、地域金融機関などの金融機関からの融資が中心となります。そして、金融機関での融資審査は、融資の可否だけにとどまらず、借入利率にまで影響を及ぼす、非常に重要なものとなります。その融資審査の際、事業計画書、決算書などの書類を提出しますが、そのうち、最も重視する書類決算書となります。 金融機関は、決算書の数字に基づく分析である財務内容の分析を重視するのです。
  しかも、通常、決算書の作成は、年1回しかできませんし、決算後から数年は、その数字が付いて回りますので、決算書は、非常に重要なものとなります。しかしながら、決算書の作成方法については、会計方針の選択により、表示方法が異なります。例えば、収益を売上高に計上するか、営業外収益に計上するかにより、決算書の出来上がりが異なります。しかし、決算書は、一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき、作成される必要があります。例えば、一般事業会社は銀行預金の受取利息を売上高に計上できず、営業外収益に計上する必要があります。したがって、決算書を作成する会社が、一定の会計基準の中で、何を目的とするかにより、決算書の出来上がりが異なることになるのです。
 そこで、融資に強い決算書とは、税務申告だけでなく融資までも目的にして作成された決算書となります。逆に、融資に弱い決算書とは、税務申告のみを目的にした決算書であり、融資を考慮していない決算書となります。
 つまり、会計帳簿を記帳する段階から将来的な融資の可能性を考慮して、融資に強い決算書を意識した会計処理及び表示方法を選択することが、会社を存続発展させるために非常に重要となるのです。

3-2 まとめ(融資に強い決算書作成の重要性)

 一般的に、売上が増えるにつれ、資金不足になるので、すぐに資金繰りの問題が発生します。そこで、金融機関からの融資を検討しますが、その融資審査で、決算書最も重要な書類となります。しかも、決算書は、年1回しか作成できず、さらに何が目的かで表示方法が異なります
 したがって、会計帳簿を記帳する段階から将来的な融資の可能性を考慮して、融資に強い決算書を意識した会計処理及び表示方法を選択することが非常に重要となるのです。

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